duo

ゲストパフォーマーに邦楽囃子方の望月太満衞を招いた本作は、ユニット名を(1÷0) ²と改名して制作された。尺八と鼓は、デュオで演奏される事が伝統的に無く、映像の中の二名は互いに背を向ける形でその事を示唆している。実際に設置されたディスプレイは結界の如く二名を囲み、その映像は心電図のバイタルサインの如くである。頭上の映像は、二名の音から生成されつつある受精卵のように鎮座して、奏者と聴衆を見下ろし、時に挑発する。

(1÷0) ²

尺八:黒田鈴尊
囃子:望月太満衛
映像:宮本貴史
ディレクション:浅野剛

撮影・編集:Tokyo Media Interaction

撮影会場:安養院 瑠璃講堂(東京)

この作品は、2人の演奏に後から電子音響が加わる、という前提での即興演奏と、映像とエレクトロニクスのコラボレーションです。 どんな音響が加わるか、どのようなタイミングで切り込んでくるか、無音はつくれるのか、等々を想像しながらの演奏は、邦楽の特徴でもある「間」を、より愉しむことにもなりました。また映像が入ることで「間」がさらに鮮明に存在していたと感じました。 演奏現場だけではない拡大されたコミュニケーションの結果は、これからは視聴者とのコミュニケーションに繋がります。どうぞお楽しみください。

尺八奏者:黒田鈴尊

望月太満衞 | Tamae Mochizuki – 特別ゲスト

邦楽囃子方。石川県金沢市出身。 3歳で初舞台。幼少より祖母 杵屋喜澄 (望月太以)、母 杵屋喜三以満(望月太満)の手習いを受け、長唄を人間国宝 十五代杵屋喜三郎、囃子を十二代目望月太左衛門に師事。 長唄方として杵屋喜三継の名も持つ。 2011年 東京藝術大学音楽学部邦楽科邦楽囃子専攻卒業。現在は金沢を拠点とし東京をはじめ全国各地で古典を中心に演奏活動を行う。また、洋楽器など様々なジャンルとのコラボレーションにも積極的に取り組む。長唄協会会員。金沢素囃子子ども塾講師。